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未来(あした)や過去(きのう)に 住所があれば迷い道はなくなります【田中美穂】

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  • 2016/06/11

未来(あした)や過去(きのう)に 住所があれば
迷い道はなくなります

【田中美穂】
平成12年10月号


 世紀末なので、未来へ、次世代に、と声高に論じられることが多いけれど、その時代背景がどのようであっても、人は、「あした」や「ずっと遠く」を常日頃、無意識に眺めているはずです。

三年ほど前から、公立小学校の「詩」の授業をお手伝いしています。他人様には、ガキだねぇいわれている私ですが、こどもたちとの時間の中で、忘れてはならない幾つかを忘れかけている大人になっちまっている、と実感できる貴重な機会です。

そこで、私は、学校ではなく、親から学んだことを伝えます。・ ・言葉は[涙を拭くハンカチーフにもなるし、人を殺すナイフにもなる]道具なのだ、と。そして、人それぞれの物差しを持つ自由と責任を語ります。複数の人々が同じ空間で生きる時に、持たなくてはならない共通の物差し、その寸法を学ぶのが学校の国語です。「詩」という囲いの中では、学校の国語では間違いといわれることがあってもいいのです。共通のそれと各自の物差しの差~肩をならべている誰かとの、ちょっとの違い大きな違いの意味を考えることで、言葉が幸せを創る道具になるかどうかの分かれ道に立たせます。

ちとエラソウなことをならべてしまいましたが~そうして出会ったひとりの男の子のつぶやきに受けた衝撃が、今の私を熱中させている「自分の町で上質の生の文化に触れる」活動の原点になりました。

11歳の彼は「パパは毎日疲れている、ママはぼやいている、おばぁちゃんも寝たきりだし。大人になるのはつまらなそうだ」そして「でも、きょう変な大人(私です?!)もいるんだって感じで、大人になるのも悪くないかなぁって、ちょっと思った」

大人になるのが楽しみになる世の中、にしなくては!私や仲間たちのような、好きに生きてる(ほんとはなかなかシンドイ生き方なのよ)連中が、こどもたちの夢のサンプルになれるなら…。

財布に優しい料金で、身近に楽しみや感動の種子があれば、大人たちも、子どもだったことをたびたび思い出せるはずですし。
『もしこの世の終わりが明日だとしても私は今日林檎の種子をまくだろう(ゲオルグ・ゲオルギウ)』…でもね、蒔くはしからつついて芽吹きを阻むゴンベエ鳥のこの世になんと多いことか…。


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作成日2002年8月1日