環境・情報

福島第2原発報告

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  • 2016/06/28

 

福島第2原発報告
2000年7月29日~30日

竹田共生塾塾生 日吉康雄


まさに夏の真っ盛りの7月29日、30日、ウォータービジョンの竹田共生塾メンバー16名で福島原子力発電所見学ツアーに行ってきました。共生塾では主に環境について月に1度勉強を続けもうじき1年になろうとしています。
今回のツアーで感じたことの結果から言いますと「実際に見ること、現場に行くことの大切さを実感。」があげられます。
27人乗りのバスはゆったりと快適な空間を提供してくれました。東名高速を過ぎたあたりでニュースの特集の短いビデオを見ました。それは原子力発電所の汚染処理の仕事をする職員の事で、横浜あたりのホームレスの人々がその仕事に従事している関係のルポルタージュでした。ふと目を外に向けると、隅田川沿いにきれいな水色シートの箱が並んでいます。何だろう、と注意してみると、川風に涼を求めてか新手のホームレスの方々の居場所でした。きっとあのシートの下の人の中にも、危険についての知識もなく、割の良い仕事と背に腹は代えられぬ思いで汚染処理に従事したひと、する人がいるかもしれないと思うと気持ちが重くなりました。
常磐道は快調に進み予定より早く福島県にはいれましたので、1週間ほど前にオープンしたばかりというとても立派できれいな「アクアマリン」と言う水族館寄りました。とても近代的で魚の群の泳ぐさまの見られる水槽の前では一同大変感動しました。また、福島県沖の海は黒潮と親潮のであう潮目があってとてもすばらしい海であることの説明が随所にありました。静岡県の駿河湾が一番すばらしいと思っていたので意外でしたが、きっと日本中の海のある県では、自分のところの海が一番すばらしい。とやっているのだろうと
気づきました。きっと他の諸々の事も同様なのだろうとも・・・。
一日目は発電所見学は無しで「いわき」という古くからの漁港の町に宿をとりました。夕食後に町の散歩に出ましたが、商店街の祭りも早々と終わり、大漁旗の飾り意外は日本のどこにでもある普通の町という印象でした。散歩のあとは、塾長の竹田さん他、若いメンバーと、自分で若いと思っているメンバーとで、カラオケに歌を唱いに行きました。普段硬い話をするメンバーの違った側面を知ることのできる楽しくも有意義な時が過ごせた気がします。
さて、翌日はいよいよ主目的の原子力発電所見学。今まで学んできた事の実際を見る機会でした。まず原子力科学館で原子力発電に関する展示物の見学や説明を受けてから発電所に行くという行程でした。科学館では、その日一日の案内説明をして下さる東京電力の担当者とのご対面です。やって来たのは予想通りのとてもとても美人で感じの良い若い女性でした。原子力発電の仕組みや安全性などを大変分かり易く懇切丁寧に説明してくれました。「きれいな花にはとげがある。」ということわざなどすっかり忘れて、その流暢なほれぼれするような解説に、なるほどこれなら安全だ、科学の進歩はすばらしい、と深々とうなずいてしまっていたのは私だけだったのでしょうか?
科学館から発電所に行く間に昼食をとりました。場所は広大なサッカー場の中にあるレストハウスでした。大変立派できれいなスポーツ施設でグランドの芝の緑もみずみずしくそよ吹く風はとても心地よいものでした。
そして、遂にしゃれた街灯の付いた美しい橋を渡り、原子力発電所に至りました。まず最初に目に飛び込んで来たのは、原子炉で冷却に使われた海水排水の勢いのよい流れでした。そのとめどない量の多さに驚き、海水温度の上昇も心配になりました。これから、福島自慢の潮目はだいじょうぶなのでしょうか・・・。
原子炉に近ずくためのチェックはさすがに厳重でした。さきの美人案内者に加えて目つきの鋭い男性職員の方が同行しました。「肖像権が有りますので作業員の写真はとらないで下さい!」「それには触れないでください!」等々、原子炉内に放射能漏れは無いまでも、緊張感は充満していました。そしてとうとう原子炉の真上に全員が立ちました。そこには表示板があって放射線濃度がシーベルト単位で刻々と出ていました。まったく安全ですと言われても、先ほどより2回その数値が上がったときは皆を置いて自分だけ逃げたい気持ちになってしまったことはお許しください。
緊張の一時は過ぎ、原子炉から外へ出ると優しい海風に吹かれじつにホッとしましたが、説明嬢ともお別れです。分かり易い説明と感じの良さに感謝しつつ心を込めて手を振りました。
しばらくして、ふと先ほどまでの説明を思い出して、何か似ている物が有るのに気づきました。それは、お見合いのときの自己アピールです。よいことずくめは当然ですが、実際はそればかりではない。世の中のことはすべて多角的にみないといけないのではないのかと思いました。そういえば、昼に快適な食事をしたサッカー場の壁には大きく有名企業の名前が3つありました。その3つとも原子炉建設企業でした。美人案内嬢は地元の方でした。原子炉4つの真ん中が町の境界との事でした。こちらで目にした立派な公共施設を思い出すに付け、色々考えをめぐらせてしまいます。
コンコルドが墜落したばかりではありましたが、こちらの説明では「安全」「安全」を、耳にタコが出きるほど聴かされ、分かったような気になりましたが、4重5重の安全装置のついたピストルを頭に当てられ、安全だから引き金を引いてみて下さいと言われても、ピストル事態を遠ざけたい気持ちになります。
彼女の笑顔を思うと、祈るようでは危ない事なのかもしれませんが、原発重大事故が起こらぬ事を祈らずにはいられません。
ツアーを振り返って、初めに述べたように実際に見に行くことの大切さを思い知らされました。今は情報化社会で、机の前に座りながら世界のことをしることが可能になってきましたが、だからこそよほど意識して実際を知ることの行動をしないと、本当のことが見えて来ないような気がします。核分裂の臨界状態のように努力し続けたいと思います。


Project “Water Vision” Presents
作成日2001年10月1日